シルエットの美しい羽織とは? – 衿について –


「美しい羽織のシルエット」とは、
どのようなシルエットを想像しますか?

どのような着姿が美しいと感じますか?
羽織を羽織った後の着姿に期待することは何ですか?

私は、次の3つの条件を満たしている物を、
「美しい」と定義しています。

①衿が地に向かって真っすぐに降りているとこ
②裾が地面と平行になっていること
③着物に羽織がくっつきすぎず、離れすぎずの位置にあること


羽織の衿
羽織


写真で着ている羽織は、
私がまだ和裁を初めて間もない頃、
浴衣しかまだ縫ったことがなかった頃、
仕立ててもらった羽織です。

あの頃は何も知りませんでしたが、
美しく見せるためには、衿がとても重要だと、
後になってから知りました。

ちなみに、羽織丈は、
主流の七分丈よりも少し長めの、
ひざ下丈です。

羽織の丈は、七分丈にこだわらず、
身長によって変えた方が良いと思っています。


さて、本題に戻り、
——————–
①衿が地に向かって真っすぐに降りていること
——————–
について、考えてみたいと思います。

理想の衿は、衿先で広がったり
内側へ入り込んだりしていないことです。
衿先まで、真っすぐに降りていると、
とても美しいのです。

そのためには、どうすると良いのか?

ポイントは、3つです。
・後巾を裾で狭くする
・前巾を成り行きではなく、指定寸法にする
・衿先の縫い込みを深くする


写真の羽織は、
後巾が見八ツ口あたりから裾まで、
同寸で仕立ててあります。

よく見ると、
背中心の裾辺りで布の余りがあります。
この分を脇で縫い込んであげると、
より良いシルエットになります。

そして、次の問題は、
どのくらい縫い込むのか?です。

これは、一概にいくつという寸法が言えません。
いつもの着物姿の上に羽織ってみた感じで、決めていきます。

一つ言えることは、
私の体型で、裾で後巾を2分、前巾を2分、
衿先の縫い込みを通常よりもさらに2分詰めるだけでは、
足りないということです。

これだけは、
アナログな方法で、着姿を見るに限ります。

羽織やコートを着る時期になりました。
ぜひ、いろいろな羽織を見てみてくだしい。
そして、お手持ちの羽織の寸法を測ってみてください。

長くなりましたので、今回はここまでにします。
羽織のシルエットを美しくするポイントは、下の3つでした。

①衿が地に向かって真っすぐに降りているとこ
②裾が地面と平行になっていること
③着物に羽織がくっつきすぎず、離れすぎずの位置にあること


次回は、②と③についても考えてみたいと思います。

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。