羽織の寸法 を決めるためには、着物の寸法が必要ですが
その中でも特に大切だと思うことをまとめました。

①着物の寸法が決まっていること。
一番重要なことは、着物の寸法が決まっていること。これが決まっていないと羽織の寸法が決まらない。特に裄と袖丈は着物との兼ね合いがあるためきっちりと決めておくことが重要だ。
②着物の着方が決まっていること。
シルエットの美しい羽織にしたいと思うなら、ここが重要である。
きっちりと言葉にできるほど、着方が決まっている必要は無いが、なんとなくいつもこの着方をしている、という程度で良いから着物の着方が決まっていると望ましい。
これは何に影響するのか、というと、羽織の繰越寸法を決めるのに影響する。着方が決まっている、というのは特に、衣紋の抜き具体がどのくらいなのか、が重要なところで、ここが一定でないと、羽織の繰越が決まらない。
羽織の繰越というのは、シルエットを変えてしまうほど重要な寸法になる。
③その他
上記2つ以外についてはさほど影響しない。
前巾・後巾について
着物の前巾・後巾がいくつなのかは、目安にはなるが羽織の身巾を割り出す時必須項目ではない。着物の身巾寸法よりもヒップサイズが分かると良い。
身丈について
羽織の身丈は、着物の身丈とは全く関係のない部分である。
乳付けについて
乳の位置は、帯位置に左右されるため、前項“②着方が決まっていること”が重要になる。
衿巾について
標準寸法があるが、着物とは切り離して考えれられる寸法のため、羽織を誂ようと思った時に考えれば特に問題ない。
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