羽織の寸法は、着物の寸法よりもシビアだ。身体の厚みの違いが、 乳の位置 を上げている。

乳(ち)は、羽織紐を通すためのループ。
理想の位置は、羽織紐の結び目が帯の上線と帯締めの間に来ていること。これを目指して、 乳の位置 をお客様ごとに微妙に変えている。

今回は、身体の厚みと乳の位置について考えてみた。

羽織姿
乳の位置

乳(ち)の位置:標準寸法

乳の標準寸法は、肩山から9寸。
この通りに仕立てたのが下の写真。随分上の方に羽織紐があることがわかる。
その理由は、身体の厚みに加え、羽織の繰越が小さいことが影響している。

羽織姿

乳の位置を標準よりも下げてみた

前項の乳の位置よりも5分下げた位置にした。
羽織紐が帯揚げと同じ位置になっているが、許容範囲だろう。

身体の厚みが薄い場合

次に、同じ羽織を着付け練習用ボディーに着せてみた。
羽織紐の位置がグッと下がっていることが分かる。

まとめ

乳の位置は、身体の厚みにより上下する。
厚みがある場合は乳の位置が上がり、厚みが薄い場合は乳の位置が下がる。また、着物の着方も影響する。衣紋の抜き具合を変えれば、乳の位置は上下する。この記事が、体型や着方にあった乳の位置を見つけるための参考になれば嬉しい。

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。