キセ という言葉と聞いたことがあるだろうか。
私自身、24歳で和裁を始めるまで一度も聞いたことが無かった。
和裁に出会わなければ、一生知ることのない言葉だったかもしれない。

和裁

キセ とは

キセ とは、本縫いと仕上がりの間のゆとり部分を指す。
「 キセ をかける。」などという使い方をする。

キセ
縫い目と仕上がりの折れている線の間にあるゆとりが「キセ」である。

キセ にはルールがある

キセにはルールが存在する。そこがややこしい。
まず、着物にはキセがかかるが、コートにはキセがかからない。
この部分だけ耳にすると訳が分からくなるが、こう考えるととても簡単だ。

長襦袢、着物、羽織など、室内で着用する物には キセ をかける。
道行コート、道中着など、屋外で着用する物には キセ をかけない。

どちらに キセ をかけるのか

和裁を経験したことがある人ならここはとても重要なポイントである。
「どちらにキセをかけるのか」とは、「縫い代をどちらに向かって倒せばよいのか」と同じ意味になる。

縫い代の倒す方法は決まっていて、全国どの和裁技能士に尋ねても同じ答えになる。
アンティーク着物やリサイクル着物、祖父母の着物、現代の着物、
どの時代の着物を見ても、縫い代を倒す方向は統一されている。
言わば、当然のことであり、暗黙の了解なのである。

○○の方が高い という表現

キセをどちらにかけるのか、新しい物の仕立て方を学ぶ時、必ず確認をする。
そして「キセをかける」の他にもう一つの表現が「〇〇の方を高くする」である。

私は初めて耳にしたとき、とても分かりにくいと感じたが
分かってしまえば単純であり、間違いなくキセの方向を学ぶことが出来る。

つまり、表側から見て、どの部分が高くなっているのか
たった数mmの高さの違いを指しているのである。

キセ
この場合「衿の方が高い」となる。

どこに何分のキセをかけるのか

これもややこしい部分の一つだが、考え方はこうである。
縫い代の多い部分はキセを深くし、縫い代が少ない部分はキセを浅くする。

キセの基本は5厘。
場所により、1分、1分5厘など、微妙に変える。

基本はその場所によってキセの量が決まっているが、
仕立て屋の感覚で基本よりも多くする場合もある。

まとめ

キセ という独特の概念を少しでも理解してもらえると嬉しい。
疑問は「なぜキセを付けるのか」だが、洋裁のコート裏などにもキセがついている。
これを見ると和裁独自ではないのかとも考えるが、ここは課題である。

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。