羽織の振りが着物の振りにピッタリと沿った着姿になっている方が “美しい” とされているが、着物の着方と羽織の寸法との相性でその美しさは表現できたり、できなかったりする。ここでは、着物の振りと羽織の振りがピッタリ沿っている場合とそうでない場合について写真で比較したいと思う。
振りの添いが良い場合
羽織と着物の振りが浮いていない理想的な状態。
振りの添いが良くない場合
羽織の袖底から着物の袖が浮いた状態。
解説
振りの添いが良い写真①と、振りの添いが良くない写真⑤は同じ着物と羽織を着付けている。
衣紋の抜き方も同じである。違いは、“身八つ口の布の処理”。
着用時、着物の身八つ口の布を綺麗に処理しようと脇線を下に引きすぎると、袖の振りが添わなくなる。つまり、袖付け留まりが身体にピッタリ引っ付いてしまっていると振りが沿わない。ある程度、袖付け留まりを身体から離した状態で着ることがポイントになる。
まとめ
羽織を着た時、着物の袖の振りが浮かないよう仕立て屋は袖丈の寸法を工夫している。
例えば、着物の袖丈が1尺3寸の場合、羽織の袖丈を1尺2寸5分や1尺2寸7分で仕立てる。
きっちり着物の袖の振りと羽織の袖の振りを揃えた状態で着たいと思った時、
仕立て寸法と同時に、着物の着方も重要になってくる。
“美しい”着姿を目指すためには、仕立てと着方の双方から考える必要があること知ってもらえたら嬉しい。
冊子「羽織の印付け」
KOTAROオンラインショプでは、冊子「単羽織の印付け」を販売しています。
関連記事
-
寸法について
「寸法=体型」では無く、「寸法=着用姿」である。KOTAROが考える着物の寸法。
着物の寸法を決める時、身長・ヒップ・腕の長さ、と自分やお客様の身体のサイズを必ず測ると思います。この測ったサイズから割り出した着物寸法は「寸法=体型」かもしれません。しかし、着物に着慣れてくるとこの寸法が必ずしも良い寸法 […] -
寸法について
肩巾を狭くすれば、 脇に余る布 を減らすとこができる。肩巾を最大限狭くした着物を仕立てました。
正面から見た時、 脇に余る布 が気になるという事をよく耳にします。この布は絶対に無くすことができません。しかし、肩巾を狭くすれば、脇に余る布を減らすことができると考えています。今回は、最大限肩巾を狭くした着物を仕立てまし […] -
寸法について
自分の着姿をイメージできていますか? KOTAROが“寸法”にこだわる理由
KOTAROでは着物・長襦袢・羽織・道行コートなどの寸法にこだわっています。寸法を決める時、私は常に着用姿をイメージしています。反物を見た時、その反物が着物になり、自分が着用した時の姿をイメージするのです。もしかすると反 […] -
寸法について
衣紋が抜けない原因は繰越寸法にある。繰越1寸5分の 長襦袢 を仕立てました。
衣紋が抜けない原因の一つは繰越寸法にあると思っています。そこで今回私にとってとても大きな繰越寸法で 長襦袢 を仕立てました。 仕立て寸法 形のポイント 繰越 について 現代の標準とされている7分・8分の約2倍の寸法で仕立 […] -
寸法について
長襦袢の袖 と着物の袖が沿わない原因は仕立てにあるのか?!
着物の着崩れや着心地の違和感について考える時、仕立てに問題があるのか、着方に問題があるのか、体型の問題なのか、どこに原因があるのかを考えることがあるかもしれません。今回は、 長襦袢の袖 と着物の袖が沿わない原因は仕立てに […] -
寸法について
長襦袢 の胸周りに入るシワと空気について考える。
長襦袢 を着用すると必ず胸周りにシワがより空気が入るように思います。シワや空気はそのままで問題ないものなのか。空気が入った状態で着用していると、布が動き、着崩れにつながるのではないか。今回は、長襦袢の胸周りにどんなシワが […]
\プロの方にたくさんご受講いただてます!/
この講座では、着物を仕立てるために必要な全ての寸法について標準寸法をお伝えし、その寸法を変えると着姿がどう変化するのかを解説しています。寸法の基礎を知り、着姿から理想寸法を一緒に見つけましょう。
次回、2024年9月29日 東京にて着物の寸法講座を開催します。
次回、2024年9月29日 東京にて着物の寸法講座を開催します。