長襦袢には、着物で言う衽になる部分の布を「 竪衿 (たてえり・たちえり) 」と呼んでいます。
ここでは、竪衿とは何か、竪衿の基本寸法とは何か、なぜ衽と呼ばないのかなど、解説していきたいと思います。
竪衿 とは
着物で言う「衽(おくみ)」に当たる部分を「竪衿(たてえり・たちえり)」と呼ぶ。
単仕立ての場合でも、袷仕立ての場合でも、竪衿の場合は布が2枚重なった状態で仕立て上がっている。
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長襦袢の基本の形
長襦袢の基本の形は、この「竪衿」が付いた形だと習ってきた。
地域により基本の形が異なるかもしれないが、名古屋ではこれが基本となっている。
竪衿 の標準寸法
竪衿の標準寸法は、2寸。
裾から上まで寸法同じ巾で仕上げる。
なぜ「衽」と呼ばないのか
あくまでも「衿」だという考えから来ているのではないかと想像する。
詳しいことは分からないが「衽」ではなく、「竪衿」と呼ぶことで私たち仕立て屋は仕立て方を区別している。
長襦袢の「衽仕立て」とは
長襦袢の基本の形は、竪衿が付いた形だと示したが、これと区別して「衽仕立て」という仕立て方もすることがある。
この場合は、着物の衽と同様の仕立て方をする。
竪衿と衽の違いは、
竪衿の場合は、表地が2枚重なって仕上がっている
衽の場合は、1枚で仕上がっている。
竪衿の場合は、褄下が輪になって仕上がり
衽の場合は、褄下くけをして仕上がっている。
竪衿 なのか、衽なのかは、仕立て屋にとっては大きな違い
仕立て屋にとって、「竪衿」で仕立てるのか、「衽」で仕立てるのかは大きな問題である。
布の裁断方法も変われば、仕立てる長襦袢全体の寸法も変わる。
例えば、「長襦袢の竪衿を少し広くしてほしい」と言われた場合、「竪衿」で広くできる限界の巾は幾つになるのかをまずは考える。この場合、2寸2分程度までしか広くできない。しかし、竪衿ではなく「衽仕立て」にしてしまえば、標準の竪衿巾2寸の2倍以上広くできる。竪衿を衽仕立てに変える前に、竪衿の付け違いという方法もある。
色々な可能性がある中、どんな寸法で、どんな仕立て方がベストなのか着用者と仕立て屋が一緒に考えることができたら良いといつも思っている。
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