昨年、2020年の夏に始めて仕立てた鮮やかな黄色の夏着物。
今年(2021年)は、落ち着いた黄色に染め直し、もう一度仕立てました。

寸法は、「 繰越0 ・衿の付込み8分」は昨年と同様
大きく変えた寸法は、身丈・前巾・抱巾の3つです。

仕立て寸法

  • 身丈 4尺2寸5分
  • 裄 1尺8寸
  • 袖巾 9寸5分
  • 肩巾 8寸5分
  • 袖丈 1尺4寸
  • 袖付け 前6寸5分・後6寸
  • 見八ツ口 4寸
  • 前巾 7寸
  • 後巾 7寸5分
  • 抱巾 6寸5分
  • 衽巾 4寸
  • 合褄巾 3寸7分
  • 褄下丈 2尺1寸5分
  • 衽下がり (肩)5寸5分
  • 肩明き 2寸3分
  • 剣先の縫い代 1寸8分
  • 衿の付込み 8分
  • 繰越 0

昨年仕立てた「 繰越0 ・衿の付込み8分」の着物はこちら
衿の付込みによる変化がしりたい!!衿の付込み8分の着物を仕立てました。

夏の着物

「 繰越0 ・衿の付込み8分」を再び仕立てた理由

前回「 繰越0 ・衿の付込み8分」を仕立てた理由は、
衿の付込みがどの程度影響を与えているのかを知るためでした。

今回再び同じ寸法で仕立てた理由は、
・着物の着方によってどんな変化があるのかを知りたい
・長襦袢と着物とで、繰越・衿の付込みともに違う寸法を合わせた時どんな変化があるのか画像に残したい

他には、「この着物は繰越0・衿の付込み8分でしょ!」という決めつけもありました。(笑)

なぜ抱巾を付けたのか?

「前巾7寸・抱巾6寸5分」という寸法は、今年(2021年)4月に仕立てた大島紬と同じ寸法です。
裾から抱巾に向かって一気に狭くさせる仕立て方は、身体によく沿い、脇線が真っ直ぐ地面へ向かって落ちる感覚がとても心地よく感じ、

垂れ物でも同じ感覚を味わうこが出来るのだろうか?

そんな思いから、前巾と抱巾の寸法を決めました。

大島紬着用画像
大島紬着用画像

なぜ身丈を短くしたのか?

昨年は、「身丈4尺5寸」と身長よりも5㎝長く仕立てました。
腰紐をウエストで締めて着ることを想定した寸法で、当時はおはしょりの量も良好でしたが
今回は、腰紐を腰骨の位置で締めることを想定して、身長よりも短い身丈で仕立てました。

この着物は、 繰越0 ですが、衿の付込みが8分あるので、例えば通常の「繰越5分・衿の付込み3分」という寸法とあまり変わらないと思っています。

厳密には大きく違うんですが、
着用後の着物の肩山の位置はどちらもさほど変わらない位置にあると思っています。

なので、身丈を「短くしても問題ないだろう」と予測した訳です。

※身長165㎝です。

袖付け付け違いの効果は?

昨年は、「前6寸7分・後5寸3分」と極端な差をつけましたが
今年は、「前巾6寸5分・後6寸」と言う、どちらかと言うと一般的な付け違い寸法にしました。

まず感じたのは、「後ろの袖付け6寸は長い」
今回の着方の影響を一番に受けました。

今回のような着方をする場合は
昨年同様「前6寸7分・後5寸3分」ぐらい極端な差をつけた方が良いと感じました。

※上の2枚の写真、着方が違うのであまり比較になりませんが、参考まで載せました。

なぜ衿が首から離れているのか?

肩明きは、いつも通り2寸3分で切りました。
なのに、首から衿がどんどん離れていく…これはきっと着方のせいだと感じています。

今回着姿で試みたのは、シャープな衿合わせ

  • シャープな衿合わせでどのくらい印象が変わるのか?
  • どんな印象を相手に与えるのか?
  • シャープな衿合わせなら衿崩れは無いだろう

この3つが知りたくて衿合わせを変えたんですが
驚くことに、動いているとどんどん衿が開いてきます

これは私にとって衝撃的な出来事で
まず「長襦袢の衿が安定しない」という私にとっては気持ち悪い着心地を味わいました。

やはり、着物の衿合わせというのは、仕立てや着付けではなく
身体の中にベストポジションというのが存在しているのだと確信しました。

肩明きが2寸3分とは思えないほどの、首から衿が離れています。

繰越0

着用してみた感想

着物寸法と仕立て方は、深く衿合わせを得意としていますが、あえてシャープな衿合わせで着てみました。

シャープな衿合わにすると、衽の先が左身頃だけでなく、右身頃もたくさん見えるようになりした。アンティーク着物によく見られる現象ですが、着用感覚は肩から剣先までの衿が安定していると感じました。

衿合わせをシャープにしたことで、上半身の前身頃の布が真っ直ぐに地面方向へ落ち、胸周りがスッキリしました。また左の脇線が上半身と下半身でぴったりと合い、布のねじれが無い気持ちよさがありました。

衣紋をたくさん抜いたので、裄がいつもより長く感じました。これは、これまでにも何度も経験しましたがこの着物に関しても同じ感覚です。

仕立てているときの写真

着用画像

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この記事を書いた人

KOTARO

現役和裁技能士が「仕立てと着姿」をテーマに、どんな寸法で、どんな仕立てをすると、どんな着姿になるのか、自分自身の身体で検証しています。